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二月二十二日
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    にゃんにゃんにゃんだから今日は猫の日。
    それで、息子のリンリンを誘って「にゃんにゃんにゃんパレード」を見に行く。
    「にゃんにゃん市」という、猫主催の朝市は毎月22日に開かれているのだが、今日は一年に一度の「にゃん」がみっつ付く日で、それで特別ににゃんにゃん市のあとに「にゃんにゃんにゃんパレード」が行われる。
    しかし猫の手の肉球は丸く、それは器用に何かをつくることに向いていない。
    パレードといえばわたしは御輿を期待するのだが無論、御輿を作ることに猫の丸い肉球は向いていない。
    しかし、草かんむりなどというものは器用に編むことが出来るらしく(爪を器用に使うのかしらん?と、リンリンに聞いてみたが、そうなんじゃない、と、素っ気ない返事が返ってきただけだった)皆、揃いのような、ようく見てみると揃っていないような、とにかく様々な花をあしらった、草で編まれた帽子のようなものを被っている。
    一匹、やけにデレデレした猫がいたので、そのかんむりをようく見てみると、それはハーブの「キャットニップ」で編まれていた。
    他の猫たちは、一年に一度のことなのでちゃんとパレードをしなければ、と思いつつも、そのキャットニップが放つ魅惑的な香りが気になって気になって仕方がないようで、皆一様に思わずしっぽの先をそのかんむりに向けていた。
    |23:22| - | - | - | posted by キャル - -
    二月二十一日
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      バレンタインデーも一週間を過ぎて、わたしの好きなひとからもようやくチョコ臭さが抜けてきた。わたしの好きな人は、ただいつも身をくねらせているだけの優男であるというのにやたらとモテる。
      そんな彼へのアプローチに、いっぺん通りのバレンタインチョコをあげても仕方がないだろうと考えたわたしは、リンリンに手伝って貰ってモンブランを作ることにした。
      モンブランと言えば、こぶし大ぐらいのものをみなさんご想像だろうが、わたしのものはちがう。いっぺん通りのモンブランでは、いっぺん通りのバレンタインチョコとなんら代わりはないのだから。
      モンブランと言えば、なんでしょう?そう、フランスの山ですね。
      去年の五月にポテトサラダで富士山を作ろうとして失敗に終わったことの雪辱もはたせるという一石二鳥さも相まって、わたしはモンブランで富士山を作ることにしたのです。
      モンブランで富士山を作るには先ず、東京ドーム何個分だかの栗を作る必要がある。そう、頂上に乗せるための。
      あの黄色いいびつな丸が、モンブランのモンブランらしさを示すものとなるでしょう。桃栗三年柿八年。栗を用意するのに三年も、かかるのですか。いえ、その前に、東京ドーム何個分だかの栗は、実がなるまで何年かかるのでしょう。
      ここでいきなり頓挫したわたしのモンブランで富士山を作る計画。
      己の計画力のなさに辟易したわたしはまず、計画力アップ講座に通うことから始めることにした。
      そこで起きたあれやこれやは、また今度。
      |22:58| - | - | - | posted by キャル - -
      五月十五日
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        ユイコさんが中国から帰ってくるときに使ったチケットプランには「北海道産ジャガイモ10キロプレゼント(送料別)」というオプションがついていた。
        「送料払ってまで私、ジャガイモを10キロも欲しくない」と、至極真っ当な理由でそのオプションを断ったユイコさんの家に、断られたその気の毒なジャガイモたちが10キロ分、抗議にやってきた。
        伝書蜂を使ってそのことを知らせてきたユイコさんの家まで、息子のリンリンと共にでかける。
        なるほどユイコさんのすむマンションの入り口まで、ジャガイモの列が出来ていた。
        「ユイコさん、このジャガイモって10キロ分以上来てない?」
        「そうなのよ。他で断られたジャガイモたちまでがどんどんうちについでに抗議に来てるみたいよ」
        「うわー。そうなんだ。大変ね」
        ヒソヒソと小声でジャガイモたちの悪口を言うわたしたちをよそ目にリンリンは、
        「うんうん。そうなんだ。それは気の毒なことだったね」
        と、ジャガイモたちの愚痴を、一人一人丁寧に聞いてあげている。
        さすが我が自慢の息子!と思わないでもないが、ユイコさんもわたしも、そこまでジャガイモ料理に明るくないのでほとほと困ってしまう。
        リンリンが気の毒なジャガイモたちの話を聞いてあげること5時間。遂に気の毒なジャガイモたちはリンリンに心を許したようで、リンリンに丁寧に体をタワシでこすってもらったものから順に、礼儀正しくペコリとお辞儀をしては帰って行った。
        その頃ちょうど、わたしとユイコさんはポテトサラダで富士山を作ろうと腹をくくり、町中のマヨネーズを買い占めたところであったので、順にお辞儀をしては帰ってゆくジャガイモたちを大慌てで虫取り網で捕まえようとしたが、転がりながら帰ってゆくジャガイモたちのスピードは思いがけず速く、足がもつれたわたしはマヨネーズの束の上に転倒。そのはずみで飛び散ったマヨネーズがユイコさんの髪に大量に付着、辺りに酢のにおいが立ちこめて大変だった。
        夜、ユイコさんから不幸の手紙が3通届く。
        |16:42| - | - | - | posted by キャル - -
        五月十三日
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          愛猫のムームーが亡くなって、私は失意の沼底にいた。
          ずっとずっと長いこと。
          沼底での生活は思っていたよりもヌメヌメしたところがなく、沼底であっても私の尻はサラサラのままで保たれていたし、持参していたベビーパウダーもずっとサラサラのままだった。
          ムームーが亡くなったとき『毛皮を替えて別の猫としてまた私の前に現れたらその時はムームーとして私はその猫を愛そう』と誓っていたのに、ムームーが次に現れたのは、私が新しく買い換えた冷蔵庫として、だった。
          冷蔵庫に生まれ変わったムームーは、やはり猫であった時のように時折「ムー」と鳴く。冷蔵庫が鳴くのは大概夜中と相場が決まっているが、冷蔵庫に生まれ変わったムームーは、朝も昼も時折「ムー」と鳴く。
          私がムームーを愛した理由は最初「猫であったから」だったけれど、私は最終的にはムームーそのものを愛していたから、冷蔵庫であってもやはり私はムームーを愛そうと思う。
          |09:58| - | - | - | posted by キャル - -
          !
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            彼は本当にやさしくない酷い人

            ほんのちょっとのやさしさで私のすべてを捕らえてしまった!
            |10:21| - | comments(0) | - | posted by キャル - -
            「犬」
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              好きな男が犬になってしまった。


              彼は犬になってしまったのだが、相変わらず私は彼のことが死ぬほど愛しい。


              彼は犬になってしまったのだが、私の住むマンションでペットは飼えない。

              なので、彼の飼い主にお願いして、朝と夕方の散歩をさせてもらっている。

              彼の散歩をさせて欲しいとお願いする時には缶ビールを1ダース持参した。

              元々彼の飼い主はあまり心ない人物で、彼は1週間もくくりっぱなしにされることなんてざらだったから、彼の飼い主は私の申し出を快諾してくれた。

              彼の飼い主はあまり心ない人物だったので、彼の普段の食事は、朝に1度もらうきりの安くて不味いドッグフードだけだ。

              そんな安くて不味いドッグフードをおいしそうに食べる彼がとても悲しいが、私にはどうすることもできない。

              それで私は、せめてもの楽しみになれば、と、彼との散歩にニボシやら、試供品でもらったドッグフードやら、ジャーキーなんかを用意する。

              私が地面に放り投げたニボシに彼は飛びつく。

              夏は鴨川の川床へ、私をおいしい食事に連れて行ってくれた彼の姿はそこにはない。


              彼は黒い犬になった。

              黒い犬といっても真っ黒ではなく、手先と足先は少しベージュがかっている(あと、口の周りと目の上も)。

              私が、人だったころの彼を最後に見たとき、彼は濃紺のポロシャツに黒いズボンを履いていた。

              それで彼はそういう色味の犬になった。

              私が、人だったころの彼を最後に見たとき、その時着ていたポロシャツが真っ黒ではなくて濃紺だったから、彼の上半身は下半身よりも黒味が明るい気がする。

              そのことが少し可笑しい。


              彼が犬になってしまって、彼の奥様はどうしているだろう?

              ちらりとそんなことを考えてしまうが、どちらにしろ彼の奥様とは元々面識などないし、考えても仕方がないので考えるのをやめる。

              それに彼らは既に別居婚だったから、彼が急に人ではなくなったところで奥様は気にも留めていないかもしれない。

              とにかくそのことを考えるのはやめる。

              せめて、子供がいなくてよかったことだなぁ、と思う。

              もし私の父が人でなくなったら、やはり悲しむと思うから。

              彼は犬になってしまったので、私がどんなに望んでも彼と結婚することは出来ない。

              大体彼は犬になってしまったので、奥様と離婚することも出来ないし、重婚が認められていないこの国では、もちろん私は彼の妻にはなれない。


              彼が犬になってしまって、私はタバコを吸うようになった。

              犬ではタバコを吸えないので、彼が愛したマルメンライトを、犬になってしまった彼の代わりに私が吸う。

              「煙がそちらに流れますね、すみません」

              と、彼が私に詫びたことが懐かしい。

              「いえ、良いにおいですね」

              と、私は返した。

              私は、彼が愛するものを全部愛したかった。

              彼が愛したマルメンライトを、私は散歩の途中に半箱ほど吸う。

              きちんと根本まで、丹念に吸う。

              そんな私を犬になった彼が見るともなく見ている。

              それで尚更私は丹念にマルメンライトを吸う。


              彼がまだ犬になる前、私は絵を描くことを生業としていた。

              だけど彼が犬になってしまったので、私は絵を描くことをやめてしまった。

              大体私が絵を描く理由なんて彼に褒められたいだけだったし、私が彼の為に絵を描いても元々お互いにとってそんなにお金にはなっていなかった。

              それでも私は彼に「金になる女」呼ばわりをされたかったし、初めてそう呼んでもらえた時はいたく感動したものだった。

              でも彼は犬になってしまったので、私のことを「金になる女」呼ばわりすることはもう出来ない。

              私の絵を見て褒めてくれることも、もうない。

              私が絵を描くことで喜んでくれる人は、もういない。


              彼がまだ人だった頃、私は彼のことが今と同様愛しかったが、彼に抱かれることは拒み続けた。

              今となってはもう何の意味も持たないが、彼に抱かれることで彼を愛しすぎてしまうのが怖かったからだ。

              彼が人だった時、彼は私を抱こうとしたが、私はそれを許さなかった。

              でもあのときの息づかい。

              彼は犬になってしまったが、あの息づかいは変わらない。

              そして私の手首や耳を舐める感じも変わらない。


              好きな男が犬になってしまった。

              私はもう、彼には会わない。

              彼のことは諦めたから。

              その後彼がどうなるかは分からないけれど、

              彼に出会えたことが心から嬉しくて、

              同じだけ悲しい。
              |13:40| - | - | - | posted by キャル - -
              四月十六日
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                昨日旅から帰ってきた。
                旅でもなんでも、ようやく慣れてきた…というころに全ての課程が終わっていることが多い。
                さてこちらはというと、あまりにもパステルカラーが少ないので戸惑ってしまう。淡い色合いに目が慣れていたものだから、アースカラーでさえ今の私には原色のように感じてしまうのだ。
                それで、春の花々が咲き乱れる花壇にくらくらしながらのスーパーの帰り道。笑顔で歩く男性がいたので「なにか良いことでもあったのですか?」と問うてみる。
                男性は相変わらずの笑顔のまま「好きな人に愛を告白してきたのです」と言う。告白の結果は彼の顔を見ての通りだ。「それはそれはおめでとうございます」「ありがとうございます。それでは此をどうぞ」そう男性が差し出してきたのはお祝い用の水ようかんだった。水ようかんを頂くには少し時期が早い気がしたが、おいしい和菓子に罪はないので有り難く頂いておく。
                夜、海外ニュースを見ていたら中国の技術者の中にユイコさんが紛れているのを見かける。
                |19:27| - | - | - | posted by キャル - -
                四月十五日
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                  旅も二日目を迎え、旅ってものに慣れてきた気がする。残してきた息子のリンリンのことを少し寂しく思い出すが、まぁ、リンリンも親の居ぬ間の洗濯を楽しんだり羽を伸ばしたりしているだろうと思い、少し気持ちを盛り返す。
                  しかしこの国の人たちはよく回る。人通りの多い繁華街などを恋人と腕を組み組みたらたらと歩くと時折地元の人と肩がぶつかってしまうのだが、その度に彼らは大仰に大袈裟にぐるんぐるんと回るのだ。最初は私が強く当たり過ぎたせいかと思い、すみませんすみません大丈夫ですかすみません、と激しく謝っていたのだが、「大丈夫ですよ〜」とぐるんぐるん回りつつも微笑み返してくれる地元の人たちは特に自分がぐるんぐるん回っていることすら気に留めていないようすだったし、私もそのぐるんぐるんに次第に慣れていったのでもう、あ、すみません「いいえ〜」ぐらいに流しておくことにした。
                  夜は地元で評判の郷土料理屋へゆく。やたらと味噌が使われていたのはまぁ名産品であるから仕方がないのだが、デザートの味噌プリンアラモードには少々閉口した。味噌味のプリンであろうことは大方そんな予感がしていたので別にいいのだが、メロンかと思ってかぶりついても実は味噌で出来ていた、とか、サクランボかと思って口に放り込んでも結局味噌で出来ていた、とか、イチゴかと思ってかじっても結局味噌で出来ていた、とかはやりすぎと思った。
                  |19:26| - | - | - | posted by キャル - -
                  四月十四日
                  0

                    私の好きな人が、華奢な若いギャルっぽい女の子といちゃいちゃ歩いていたと近所で本屋を営む叔父から聞いて落ち込む。
                    叔父は、私がその人のことを好きだということを知らなくて「いやー、意外とお似合いのふたりだったよ」と更に言うので更に落ち込む。
                    それで気分転換に恋人と鏡の国へ旅行に来た。
                    ここが鏡の国だからということで何が変わるわけでもない。ただここは私の暮らす世界よりもパステルカラーの割合が高くやたら甘いにおいが立ちこめているので憂鬱な気分を少し緩和してくれる。何も知らない恋人が私の落ち込みも知らずに気安く肩に手を回してくるのでその度に悲しくなるが、すぐにそんなことも忘れてかかりすぎている虹だとか、名物の桜甘豆腐などを楽しむ。
                    ここには夜という概念がないので夜の盛り上がり(地酒をくいくいいつもより飲むことや、その酔った勢い)に欠けるが、その代わり日中の健全さが常に漂っているのがいい。でももう帰りたい。やっぱり旅は落ち着かない。
                    |22:44| - | - | - | posted by キャル - -
                    四月十三日
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                      「伝書鳩友の会」の会合の後、サワキさんというおじさん?おじいさんと一緒に帰った。
                      いつも会合の後はユイコさんとお茶をして帰るのだが、なんせユイコさんは今、米粒に文字を書けるような技術習得のために中国に行っているので、私とお茶はできない。
                      サワキさんは早くに奥さんを亡くし、自身も定年退職後の時間をもてあましているので「夕食でもどうですか?」と私を誘ってくる。私は以前より、この、一つも伝書鳩に興味がなさそうなのに会合は休まずきっちり出席するサワキさんに興味を抱いていたので(そしてなにより「私がおごりますから」という言葉にのせられて)、お誘いを受けることにした。
                      「私ね、じつは伝書鳩はおろか、普通の鳩すら飼っていないんですよ」
                      サワキさんは、店の女将さんが出してくれた黒糖焼酎を舐め舐めそう告白してきた。
                      「伝書鳩なんて存在もね、会に入ってから知ったくらいでね」
                      じゃあなんのための入会なんですか。そう聞くのもためらわれるほど恥じ入っているサワキさんに私はなにも言えず、店の女将さんに梅酒お湯割りのおかわりを頼む。
                      「時に、バリはどうですか?」
                      「バリ?」
                      「そうです。バリ」
                      バリはどうかと聞かれても、私はバリにはあかるくない…って、この会話、デジャヴじゃない。この人は、
                      「ここより寒いところに行ったんじゃないの?」
                      「…バレましたか」
                      「バレますよぉ。バリの話なんて、そうそう振られる話題じゃないですから」
                      「そうですよね」
                      「そうですよ」
                      本当のサワキさんはどこですか?本当のサワキさんはもう亡くなってます。そうですか。はい、大往生でした。それでタイミングが良かったので、サワキさんの身体をお借りして、初めて味わう春を満喫しているのです。
                      「初めて味わう春…」
                      「はい。初めての」
                      そう愛おしそうに言われると、私はもう元雪男(現サワキさん)を責める気にはなれなくて、いつまでもいつまでも元雪男(現サワキさん)の隣で梅酒お湯割りのおかわりをし続けた。
                      |00:01| - | - | - | posted by キャル - -
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